健全歯であるにもかかわらず、食べたり歯を磨いたりすると激痛が生じたり、顔面の特定の場所に触れると突発的に痛みが生じることがあります。
歯や顔面部に異常が見られない場合は三叉神経痛が疑われます。
三叉神経とは顔面領域の感覚(痛い・触った・熱い・冷たい)を司る神経で、3つの枝に分かれており、1枝(眼神経)がおでこ付近、2枝(上顎神経)が頬部、3枝(下顎神経)が下顎付近を担当しています(図1)。
(図1)
三叉神経痛の痛みは突発的で痛みの持続は短く、数秒から長くても数十秒と言われています。片側の顔面痛や歯痛がいろいろな動作によって誘発されます。季節によって変動することもあるようです。
50~60歳台の女性に多く、原因の多くは脳血管による三叉神経の圧迫と言われています。また脳腫瘍による神経の圧迫が原因の時もあります。
三叉神経痛が疑われる場合は脳神経科でMRI検査をおこなって、三叉神経が圧迫されていないかどうかを診断します。
治療法は神経の伝達を抑える内服薬だけで症状がかなり改善する場合がありますが、内服薬でも改善がみられない場合は手術を考えることになります。
歯科領域で原因不明の歯痛があった場合はすぐに三叉神経痛を考えることはありませんが、歯痛と同側の突発的な顔面痛が併発している場合は三叉神経痛が疑われますので、大学病院などの大きな病院で精査していただくようにしております。