みなさんは「バイオフィルム」という言葉をご存じでしょうか。
バイオフィルムとは、粘り気のある膜のような構造の中に、複数の細菌が集まって暮らしている“細菌の集合体”のことをいいます。身近な例としては、台所の排水溝や三角コーナーにできるヌルヌルがバイオフィルムです。水で流すだけでは落ちず、スポンジなどでこすって初めて取り除ける、あのしつこい汚れです。
お口の中にも、同じようなバイオフィルムが存在します。
その代表が歯垢(デンタルプラーク)で(図1・図2)、細胞外マトリックスと呼ばれる粘性物質と、約400種類もの細菌によって構成されています。また、舌の表面に付く舌苔や、入れ歯の表面にできるヌルヌルもバイオフィルムの一種です。
お口の中のバイオフィルムの大きな特徴は、粘性物質に守られた細菌が抗生物質や消毒薬に対して強い抵抗力を持つという点です。つまり、抗生物質を飲んだり、デンタルリンスでうがいをしたりしても、バイオフィルムそのものを除去することは難しいのです。
歯の表面に付着したバイオフィルムは、虫歯や歯周病の原因になります。さらに、糖尿病・心臓疾患・脳こうそく・低体重児出産など、全身の健康リスクを高めることもわかっています。
このバイオフィルム(歯垢)を取り除くには、歯ブラシやデンタルフロスなどを使った機械的な清掃が欠かせません。しかし、歯周ポケットの奥深くに入り込んだバイオフィルムは、日頃のセルフケアだけでは取り除くことができません。
そのため、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアによって、バイオフィルムをしっかり破壊・除去することが必要です。また、その際にご自宅でのケアが適切にできているか、歯科医師や歯科衛生士からアドバイスを受けることも大切です。
このように、セルフケアとプロフェッショナルケアを上手に組み合わせることで、お口の健康を長く守ることができます。ぜひ定期的なメンテナンスを取り入れ、健康なお口を保ち続けましょう。
a.バイオフィルムにより歯肉が炎症を引き起こしている
b.赤く染色すると歯面全体に付着していることがわかる
