金属アレルギーといえば、アクセサリーなどの金属と直接触れている皮膚に炎症を引き起こす状態を思い浮かべるかも知れませんが、金属に直接触れていない他の部位にも症状が現れることもあります。金属アレルギーは金属そのものがアレルギーを引き起こすのではなくイオン化して血中に入り込み体内のタンパク質と結合してアレルギー反応を引き起こします。
歯科においては特に保険診療で金属を使用することが頻繁にありますが、口腔内では唾液によって金属がイオン化しやすい状態でありリスクが高いと言えます。ただし歯科金属によるアレルギーは使用してから何十年も経過してから突然発症することも多く、すぐに症状が現れるとは限りません。
歯科金属アレルギーで起きる症状の例としては、手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に膿をもった小さな水ぶくれ(膿疱)が次々とできる慢性疾患がありこれを掌蹠膿疱症といいます(図1)。これはしばらくすると皮がむけてかさぶた(痂皮)になり、また膿疱ができるといったことを繰り返し、皮膚全体が赤みを帯びます。
また口腔粘膜に白色のレース模様の病変ができる扁平苔癬があります(図2)。はっきりした原因は不明ですが、金属アレルギーが原因の可能性があり、口腔内の金属を除去することで治癒したという報告もあります。
その他、口内炎や舌炎、顔面湿疹も歯科金属が原因になっていることがあります。
歯科金属でアレルギーになりやすいものとしては、ニッケル、クロム、パラジウム、亜鉛、コバルト、水銀などがあります。アレルギーと思われる何らかの症状があるようでしたら、皮膚科などで、疑いのある材料を皮膚に貼って反応を調べるパッチテストという検査を受け、もし歯科金属が原因であれば直ちに除去することをお勧めします。自費診療にはなりますが、歯科金属をセラミックやジルコニアなど金属を使用しない方法で治療することができます(メタルフリー治療:2017年10月コラム)。金属アレルギーが心配な方はぜひご検討下さい。
図1 歯科金属アレルギーが原因と思われる掌蹠膿疱症
図2 白いレース状の粘膜が特徴的な扁平苔癬.多数歯にわたり歯科金属を使用していたため、セラミックに交換した
